伝える力
NHKの番組,週間こどもニュースのキャスターをされていた池上彰さんの書いた本.
伝えるとはどういうことなのかから始まり,「伝える力」を培う方法,聞くとき書くときに対するアドバイス,使うときに注意しなければならない言葉,そして分かりやすく書くテクニックが記されている.「小学生にも分かるように」伝えるのに慣れていらっしゃるのか,非常に分かりやすい一冊です.
まず,以下のように定義されています.
伝える=話す+書く+聞く=コミュニケーション
これはとても新鮮でした.伝えると言うと「話す+書く」と考えていたのですが,「聞く」というのも入っているのです.相づちを打ったり,返事をしたり.相手の目をじっとみたり,はずしたり.そういう行為も何かしら相手に「伝えている」となると,たしかにそうだと思ってしまいます.
伝えるために必要なこととして,実例を交えながら,以下のように書かれている
まず自分自身がしっかり理解すること
自分が分かっていないと,相手に伝わるはずが無い
=意味が分からないまま話すと,それを聞いている相手も意味が分からない
私もエンジニアとしてプログラムの新規実装を解説する際,先輩から受けた解説をそのまま使ったことがあります.案の定そこにつっこまれ,しどろもどろになりました.自分自身がしっかり理解することはホントに大事ですよね.
また,何かを調べるときにも,
全く知らない人にどう説明するかまで意識する
そうすることで,理解が格段に深まると書かれています.作業の引き継ぎの場合などがこれに該当しますよね.自分は自分が書いたコードだから分かっていて,細かい動作も分かっている.その思い込みのまま資料を書いてしまうと,結局役に立たないものになってしまう.言われてみて
また,氾濫するカタカナ語に「伝える」という面から苦言を呈されていて,
カタカナ語
使えばなんとなく分かったような気になる,かっこいい,
知的な印象を与えられる
→日本語での表現に直すことで厳密な議論ができるようになる.
と書かれています.カタカナ語を多用する上司がいますが,「けむに巻こう」としているはずですので注意が必要でしょう*1.
最後に良く言われるけど,大事な言葉.
難しく書くことは簡単.わかりやすく書くことが難しい
私もこの日記を分かりやすく書いて行こうと思います.
- 作者: 池上彰
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*1:そのせいで1年間スウェーデンに行かされちゃいましたし...